日常 〜〜ルカの悲劇〜〜



ここは、ゾンビうろつく解放軍のアジト内部。
今日も隊長の怒りのパワーを充電し、室内を明るく照らしています。

「ルカ〜!!おーい!どこだ〜?ル〜カ〜〜(ハート)」
クレーベのきもい猫なで声が洞窟内に響き渡る。
「な…なんでしょうか…。」
大変脅えたルカがおそるおそるクレーベに近づく。
「よし、今日はお前と組み手の特訓をするぞ!」
そう言うとクレーベは、さあかかってきなさい!と言わんばかりに、両手を大きく広げた。
(それは組み手の構えと言うより抱擁のような気がします…)
と、ルカは思ったが口には出さなかった。
「一つ、質問よろしいでしょうか?」
遠慮がちにルカは訪ねた。
「ん?なんだい?」
クレーベは優しく質問に応じる。
「あのう、昨日も一昨日も、一昨々日もず〜っと隊長との組み手の練習ばかりなのですが…。」
ルカはおそるおそる呟いた。
その言葉にクレーベは驚きをあらわにする。
「なんだ?そんな事を気にしていたのか。なに、フォルスやパイソンとは今まで何度も特訓してきたからな。気にするな。」
クレーベの回答にルカはがっくりと肩を落とす。
「はぁ…。そうですか…。」
すると、突然クレーベがルカの両肩をがっしり掴んだ。
(ひぇ〜〜〜!!!)
突然の事に、ルカは恐怖におののいた。
「もしや!フォルスとパイソンに“お前ばかり隊長と組み手してもらってズルイ!!”とか言われたのか?」
心配そうにクレーベはルカの顔をのぞき込む。
「いえ…あのぅ…。」
はっきりと違います、とも言えずにルカは口ごもる。
「アイツらめ〜。ルカになんて事を!!!」
クレーベの頭の中は勝手にフォルスとパイソンに怒りの矛先を向けた。
「あの、落ち着いて下さい…」
ルカの声も既にクレーベの耳には届いていない。
即座に鋼の槍を掴むと怒りのボルテージが上がっていく。
(あ〜〜〜どうしよう〜〜〜!!)
ルカはおろおろと焦るばかりだ。
そこへ、なんともタイミング良く(悪く)本日の夕飯の買い出しに出掛けていたフォルスとパイソンが表れた。
(なんて間の悪い人達なんだ!!!)
ルカはこれまでかと、がっくりと肩を落とした。
「今日の夕飯はカレ〜ですよ〜。」
満面の笑みを浮かべたパイソンの顔が、ルカの脳裏に焼き付いた。
それがルカの見た最後のパイソンの笑顔になるとは…。

ズガ〜〜〜〜〜ン!!!!

狭い洞窟内に雷鳴が轟く。
なぜ室内に稲妻が落ちるのか?それは今だ現代の科学でも解明できていない。
「た…たいちょ〜〜〜。」
フォルスが黒こげになりながら淋しそうに呟く。
「………。」
パイソンは既に虫の息だ。
それは、まさに一瞬の出来事だった。
「ルカを困らせる悪い奴らは懲らしめたからな。」
とても今二人を生死の境へおとしめた犯人だとはとうてい思えないような、さわやかな笑顔をクレーベはルカに向けた。
その悪魔の微笑から、ルカは即座に目を逸らした。
逸らした視線の先には、黒こげになり悲しそうにたたずむフォルスとパイソンがいた。
(ほんっとうにごめんなさい〜〜〜。)
ルカは心の中で二人に頭を下げた。
「さあ、ルカ!おいで!!(は〜と)」
再びクレーベは、何事もなかったかのように両手を広げてルカに笑顔を向けた。
(あぁ…何時になったらこの恐怖が終わるのでしょうか…)
ルカは恨めしそうに、クレーベの裏に見え隠れするミラのしもべに問いかけるのだった。
ルカの悲劇は、まだまだ始まったばかり。
長いなが〜い苦難の序章にすぎません…。




    オワル。






短いショートすと〜りぃでした。クレーベは海より深〜く、そして宇宙より高〜くルカを愛している訳なんですよ。やれやれ。まぁ何を隠そう一番の被害者はフォルスとパイソンであるのは明確ですが(汗)それにしてもまたカレ〜ですよ。みんなカレ〜好きなのね〜(笑)あぁ、それから日常シリーズ、他の人達のバージョンも書く予定です。なので日常シリーズとして少し続けたいと思います。よろしく!!!この人達の日常が見たい!!ってのがあったらリクエスト受付けま〜す。