振り袖でトツゲキッ★


「新年、明けましておめでとう御座います。今年も外伝外を宜しくお願いします。」
ご丁寧に深々と頭を下げるのは、グレイにより無理矢理振り袖を着せられたロビンだ。
「早速新年特別企画と題しまして、今日は読者の皆様から寄せられたご質問にお答えしたいと思いま〜す♪」
ロビンは晴れやかな笑顔で紙吹雪をまいた。
「では、早速質問に参りましょう。ええと?『外伝外の皆さんはブリーフ派ですか?それともトランクス派ですか?』と言う事で、早速突撃インタビューに行きましょう!!!」
ロビンは質問について全くつっこみを入れぬまま、振り袖の裾をつまんで走りづらそうにその場を後にした。




「はい、早速やってきましたのはバレンシア王国最南端に位置しますラムの村です。あ!あそこに村人達がいますね、早速突撃〜!!」
何故か小声で手短に解説を済ませると、村人の元へ走り寄った。
「こんにちは。早速ですが質問です。クリフはブリーフ派ですか?それともトランクス派ですか?」
ロビンの何も疑いを持たない眼差しがやけに眩しかった。
「僕はトランクス派です。爽快感がたまりません。」
クリフもまた、つっこみを入れぬまま真面目に答えた。
「ちなみにメジャーなチェック柄です。」
クリフは聞かれてもいないのに勝手に暴露した。
「はい、有り難うございます。続いてアルムさん、どうですか?」
ロビンは聞いているんだかいないんだか、返事もそこそこにアルムにマイクを突きつけた。
「僕はブリーフでもトランクスでもない。ボクサーパンツだよ。ぴちっとした締め付け感はこれでしか味わえませんからね。」
アルムはどこかの評論家のようにうんうんと頷きながら答えた。
「は〜。そうですか。ではグレイはどんなパンツをはいていますか?」
ロビンはさっさとマイクをグレイに向けた。
「俺は…白のブリーフだ!!!」
グレイはにやりと微笑んだ。
「そうですか〜。定番ですね〜。では、次行きましょう。」
ロビンは笑顔でコメントを述べるが、そこへグレイがつっこみを入れてきた。
「ちょっと待て〜!!そんな訳無いだろうが!!!」
「え〜。そうなんですか?」
ロビンは何故か残念そうだ。
「お前は、俺が白のブリーフでも良いのか?」
グレイは何故か逆ギレしている。
「そんな事を言われましても、僕はただのリポーターですので……。」
ロビンは微妙な言い訳をしている。いまいちグレイとの会話が成立していない。
「このままじゃ読者の皆さんは俺が白のブリーフ愛用者だと思うだろうが!!」
「はぁ……。ではどうすれば良いんですか?」
ロビンは困ったように首を傾げる。
「だから、俺が白のブリーフ履いてるって言ったら、『まさか〜本当ですか〜!』とか言ってつっこめよ。そしたら冗談に決まっているだろう?とか言うから!!」
グレイは勝手に脚本を手がけた。
「それじゃ、もう一回俺の質問から始めろ。」
グレイは当然の様に指図すると、作ったような笑顔を浮かべた。
「それでは…、グレイのパンツは何ですか?」
テンション低めにロビンはグレイにマイクを向けた。
「俺は、白のブリーフだぜ……。」
「まさかー本当ですかー。」
ロビンの棒読みの台詞が入る。
「冗談に決まっているだろう。はっはっは!!」
グレイは満足そうに笑った。
「そうですか〜。では、ラムの村から生中継でした〜。」
「うおぉぉ〜い!!生かよっ!!」
グレイのつっこみが再び入った所で中継は終わった。






「え?もっと他の人のパンツも知りたいですか?しょうがないですね。貴方も好きですね。では、解放軍アジトへ行ってみましょうか。」
ロビンの明るい笑顔が再び眩しい…。
「入口にパイソンさんがいますね。早速聞いてみます。」
ロビンはぼーっと突っ立っているパイソンにマイクを突きつけた。
「貴方のパンツは何ですか?」
「は?」
パイソンは口をぽかんと開けてロビンを上から下まで見下ろした。ダーク系のワインレッドの振り袖は、パイソンの萌え心を刺激した。
「パイソンさんのパンツですよ〜。」
ロビンはどこかのおばちゃんのように手を振った。
「俺のパンツはトランクスだけど…。それが何か?」
パイソンは遠慮がちに答える。しかし心の中はドッキドキだ。
(やべぇぜ!今日キテイチャンのトランクス履いて来ちゃったよ!!見られたら恥ずかしいぜぇ?)
勝手に何か違う展開を想像している様だった。
「そうですか〜。では、次に中に入ってみましょう!!」
相変わらずお粗末な返答を返してロビンは早速アジトに乗り込もうとする。その際に、ちらりと目に入ったまとめ髪のおくり毛が白いうなじに栄えて、パイソンの萌え心をますます過剰に刺激した。
「ちょっとまて!怪しいヤツは通さないぞ!!」
パイソンはとりあえずお決まりの台詞を述べた。そうしないと職務怠慢でクレーベに怒りを落とされるからである。と、いうのはもちろん表の理由であって、実際の所新たなナンパの台詞だった。
「え?入っちゃダメ?」
ロビンは瞳を潤ませながらパイソンを見つめた。
「あ〜、いや。怪しいヤツだからな、お前は…入って良いぞ。」
パイソンはしどろもどろにそう答えると、矢で洞窟の壁をつつきだした。
「了解を得たので中に行きましょう〜!!」
ロビンはそんなパイソンをさっさと無視して中に入っていった。



ぴんぽんぱんぽ〜ん♪
ゾンビ達を秒殺しておりますしばらくお待ち下さい。



「ただいまアジト内部に潜入致しました。あ!!あそこに見えるのはフォルスさんですね。早速突撃〜。」
再びロビンは小声で呟いた。
「フォルスさん!早速ですが質問です。貴方はブリーフ派ですか?それともトランクス派ですか?」
ロビンは小首を傾げてなにげにぶりっこ気味なポーズで決めた。
そんなロビンにフォルスは満足げに微笑む。
「僕のパンツかい?僕はシルクのブリーフを愛用しているよ。」
恥かしげもなくフォルスはそう言ってのけた。
「シルクですか〜。ってことは、色はもちろん?」
「白だ。」
ロビンの質問にフォルスは間髪入れずに答えた。
「フォルスさんは白のブリーフで〜す♪」
ロビンは嬉しそうに言った。
「いや、ただの白のブリーフでは無いよ。シルクだから、シ・ル・ク!!」
そうこだわるフォルスをさっさと無視してロビンはルカの元に向かった。
「ルカさんはブリーフ派ですか?それともトランクス派ですか?」
「え!?僕ですか?」
ルカは恥ずかしそうに俯いた。
「ルカは何も履かない派だよな。」
突然やってきたクレーベが勝手に答えた。
「ちょ…隊長!!」
「え〜!意外ですねぇ。ルカさんは何も履かないみたいです〜。」
ロビンは疑う事もせずにクレーベの言葉を真に受けているようだ。
「ちょっと、ロビン君まで…ちゃんとパンツくらい履いてますよ……。」
「うそなんですか?」
ロビンはどこかがっかりした様子で俯いた。
「隊長が余計な事言うから……。」
ルカはおろおろとしている。
「ルカはトランクスだぞ。」
クレーベは小声でロビンに耳打ちした。
この際何故クレーベがそんな事を知っているのかという愚問は却下する。
「そうですか。」
ロビンは機嫌を直したのかにこりと笑う。
「では、クレーベさんは?」
ロビンは気持ちの切り替え早く、早速クレーベにマイクを向ける。
「俺か?そうだな。先にお前のパンツを見せてくれたら教えてやろう。」
「は?」
ロビンに限らずその場にいた全員は目を丸くした。
「あのぉ。教えるんじゃなくて…見せるんですか?」
ロビンはビクビクしながらクレーベに聞いた。
「そうだ。」
クレーベはなんの躊躇もなく言いのける。
「えっと…。そう言う番組じゃないんで……。」
ロビンはあくまでもクレーベを怒らせないようにと、遠慮がちに言う。
「堅い事を言うな。今日はめでたい新年じゃないか。フォルス!パイソン!ロビンを捕獲しろ。ルカはあっちに行っていなさい。」
いつの間にか現れたパイソンと、フォルスがやってきてロビンの両腕を掴み捕獲した。
ルカは、落ちつきなくうろうろしていたものの、とばっちりを受けたくなくてやむなくその場を後にした。
「止めてくださいってば!!離してよ〜。」
ロビンが暴れると振り袖の裾が捲れて、異様に妖艶な空気がアジト内に広がる。
「和風も又、たまりませんなぁ。」
クレーベはどこかの親父に変貌した。
「グレイ〜〜助けて〜〜!」
ロビンは必死に白馬に乗っているかはわからない王子の名を呼んだ。
「助けを読んでも誰も来ないぜ〜?」
更にクレーベは変態リーダーに成り下がる。
「呼んだか?ロビン!!」
突然グレイが現れた。何故かクレーベの馬に乗っている。
「姫のピンチを助ける王子は、やはり馬に乗っていないとね。」
ふふっとグレイはポーズを決めた。
そんな事をしているうちにもロビンの振り袖の帯は取り払われて淫らに裾がはだけられる。
「うぉぉ〜い!!展開早っ!!」
グレイは馬の上からつっこみを入れた。
既にクレーベらの眼中にグレイは入っていないようだ…。
「なんでお前がここに!とか言ってくれよ!!!」
グレイはクレーベにお願いした。
「はぁ?しょうがないな。なんでお前がこんな場にいるんだ?」
クレーベはめんどくさそうに言った。
「俺は……ロビンのストーカーだからだ!!!」
グレイは犯罪者だった。
「あぁそう。」
クレーベ達は聞かなかった事にして、再び事に及ぶべくロビンを取り囲んだ。
「うわ〜ん。みんなして変態だ〜〜。」
我慢の限界に達したロビンは声を荒げて泣き出した。
「おい?ロビン、泣くなよ。冗談だから。」(嘘です)
流石のクレーベも涙には弱いのかしどろもどろだ。
「親分!ヤバイっすよ〜!」
「おやび〜〜ん!!」
フォルスとパイソンはなぜかクレーべを親分と呼んでいる。すっかり役者気取りか?
そうこうするうちに、おろおろする3人の間をぬってロビンはグレイの元に走り寄った。
「グレイ〜。」
変態だろうが犯罪者だろうが、やはりロビンにとっての王子サマはグレイのようだ。
「ロビン〜。怖かっただろう〜。」
グレイはロビンを抱きしめるとよしよしと頭をなぜた。
「あ、グレイ。ちょっと待って。」
ロビンは突然何かを思いだしたかのようにマイクを握りしめるとクレーベの元に向かった。
「クレーベさんのパンツは?」
仕事熱心なロビンだった。
「俺か………?俺は………。」
「白のブリーフ!!!」
グレイが横やりを入れた。
「と、言う事で、クレーベさんも白のブリーフです〜〜。」
ロビンは嬉しそうにそう言うと手を振った。
「余計な事を〜〜!」
クレーベがグレイに殴りかかる。
「ホントの事だろ〜!!(?)」
グレイもクレーベを迎え撃つ。
「これにて新年特別企画は終わりです〜。今年もよろしくね〜〜〜☆」
ロビンは乱れた服装のまま晴れやかな笑顔で手を振り続けた。
その奥では、グレイとクレーベが生死をかけた殴り合いを続行中だ。




    オワル。






新年早々お馬鹿な話で済みません。超お下品(汗)ほんと、申し訳御座いません。まさにお粗末です。多分私、ピューと吹く!ジャガーの作者のうすた京介なみに白のブリーフ好きです。いや、白のブリーフを履いている人に萌えるとか、そう言うんじゃなくて、白のブリーフっていう存在が好きです。いや、ホントしょうもない。